西洋食器において、非常に多くの窯が採用してきたのが「鳥」の絵付けです。

その鳥も、例えばマイセン窯においても、ウォーターバードのような抽象的な絵付けから、蝶と鳥のような写実的なものまで・・・

特に写実的な鳥の絵付けは難しく、熟練した職人にしか任されなかった絵付けだとか何とか・・・

スケッチで小鳥の絵を描いてみても、あの羽の独立したフワフワ感とか、表現するのが難しいですよね。

それをさらに、磁器食器のうえで表現するとなると・・・難しいのもよく分かります。

さて、鳥の絵付けの西洋食器で有名なのは沢山ありますが、ヘレンド窯の「ロスチャイルドバード」は広く知られています。

ヘレンドは、各国の王族貴族やお金持ちとの交流があったことで有名ですが、ロスチャイルド家とも親交があったようです。

さてさて、ロスチャイルドバードの食器に描かれているのは、愛らしい小鳥と・・・ネックレス・・・・・・?

どうしてロスチャイルドバードの食器にはネックレスが描かれるようになったのか、そのゆえんをお話しましょう。

かつてヘレンド窯は、ロスチャイルド家に「小鳥のパターン」の食器を納品していました。もちろん、ロスチャイルド家専用の食器としてです。

親交の多いヘレンドは、ある日、ロスチャイルド家のパーティーに招かれます。その園遊会にはなんとヴィクトリア女王の姿もあったようで、なんて豪華なメンバーなんでしょう・・・

ですが、皆でワイワイしているうちに、ヴィクトリア女王が「自分のネックレスがなくなっている!」ことに気が付きます。

さらにそのネックレスは、女王のお気に入りの品。すぐさま手分けしてネックレスを皆で探します。

さて、ネックレスはすぐに見つかるのですが、発見された場所は木の枝です。

「誰かが盗んだ・・・?」「地面に落ちているとかならわかるけど・・・」「盗んだ人が木の枝に掛けたのでは・・・」

パーティーは何ともいえない雰囲気になってしまったのですが、そこで機転を利かせたヘレンドが、ロスチャイルド家の小鳥のパターンの食器に、とっさにネックレスを書き加えます。

つまり「小鳥のいたずら」だったのですよ、という、なんとも洒落たお話でした。

私だったら根に持ちますけどね・・・誰だろ・・・って・・・(笑)

そんなこんなで、ヘレンドの従来の「小鳥のパターン」に「ネックレス」が加えられることになり、これが「ロスチャイルドバード」として定着していくのでした。